1.在宅就業の必要性
昨今の働き方改革、非正規ワーカーの増大、インターネットを使った在宅勤務の普及、さらには新型ウイルス問題によるテレワークの推進など、様々な社会情勢の変化の中で、在宅就業はこれからの社会が求めている働き方として大変重要であると考えます。特に、ひとり親家庭、障がい者(身体障害者、知的障害者など)や引きこもりなど、就業機会が不足し経済的に恵まれなかったり、家庭介護など家庭以外での就業が困難な場合など、在宅就業は、自宅で仕事をして働きに応じて収入を得ることができ、働きたくても働けない方々の生活の安定に寄与するなど「セーフティネット」としての役割が求められているところです。
2.在宅就業が抱えている課題
在宅就業として最も適している業務が、データ入力等の業務です。しかしデータ入力等の業務は多くの場合、定常的かつ安定的に発生するわけではなく、必要な時に大量に発生する特徴を持っています。これに対応するための設備や人材を事業として常時確保しておくことはなかなか困難です。
そのため、それらの業務を自社で処理することはできないため再委託で分散化を図ることが多く、実際には中国その他の国に再委託されることも少なくありません。官公庁や地方自治体は、セキュリティ確保のため契約上は再委託禁止や在宅でのデータ入力はセキュリティ上の不安から消極的です。セキュリティに関する入札条件も厳しく、ほとんどの業務において、在宅での業務遂行を認めていないのが現状です。
3.課題に対する解決策
仕事量の増減に対応して振幅できる処理体制を構築できる方法を導入すれば、多くの在宅ワーカーを抱えるとことにより臨機に対応が可能となります。この考え方ですでに万の単位で在宅ワーカーを抱えている企業もいくつかあります。個人情報保護のセキュリティ確保の問題も、また大量の処理を短時間にしなければならない問題も、技術的に処理できる設備やシステムがすでに確立されており、実践されています。
しかしながら、「在宅で仕事をしたい人を確保」し、また「セキュリティが十分確保できる仕組みはすでに確立」されているにもかかわらず、官公庁、地方自治体、企業・団体などの理解はまだ浅いのが現状です。このことが解決できれば、いざというとき、いつでも、在宅で仕事ができ収入をあげることができ、まさに「在宅就業によって生活の安定に寄与できるセーフティネット」が新たな社会システムとして実現できます。
4.団体設立の趣旨
今回、団体設立に至ったのは、すでにいままで民間で実践してきた活動や事業をさらに定着させ継続的に推進していくこと、業務処理水準を確保し、信頼性を高めるとともに、活動を広げていくための行政や関連団体との連携を深めていく必要がある等の観点から、社会的にも認められた公的な組織にしていくいことが最良の策であると考えたからです。
すでにテレワークを掲げた団体、企業、またネットを利用したビジネスを行っている企業は多くあります。それらとの違いは、「働きたくても家庭や個人的な事情でフルタイムでは働けない、高度なスキルをもっているわけではなくなかなか収入をあげることのできない人などのためのセーフティネットを構築する」という視点にたちます。もちろんこれらとの団体・企業とも連携してまいります。
この団体を法人化し、活動を発展させることによって、在宅就業など新たな就業形態によって経済的弱者を支援するための調査研究、人材育成、普及・啓発、情報の収集及び提供を行い、支援事業者におけるセキュリティの確保、事業者の技術の向上、及びワーカーの収入の確保と利便性を、ひいては我が国の産業の健全な発展と国民生活の向上に寄与するものと考えます。
5.組織
一般社団法人在宅就業支援協会として、2021年7月1日に設立いたしました。当法人への参加は、法人、個人を問いません。活動拠点は東京におきますが、活動は全国的な広がりで行います。
当協会の趣旨をご理解いただき、この協会にご参加いただきますようお願いいたします。
2021年7月吉日
一般社団法人在宅就業支援協会
会長 小宮 善継
理事長 皆川 尚史